新挑戦
濁りソーヴィニヨン

キムラセラーズは、日本人ワインメイカー・木村滋久さん恵美子さん夫妻によるワイナリー。ほぼすべての作業を夫婦二人でやっている、正真正銘のブティックワイナリーです。

2008年設立で、2018年からは自社畑を購入し、こだわりの詰まったワインをリリースし続けています。

そして、今回届いたのは、新しい「NICOシリーズ」という名のソーヴィニヨン・ブラン。

これは木村ファミリーの愛犬NICOに由来するネーミングで、ラベルにはNICOの足形がプリントされています。

さてその中身はどんなものかというと･･･

届いたばかりのワインを試飲して驚きました。なんと、しっかりと濁っているのです！

ニュージーランドではほとんど見かけない「濁りソーヴィニヨン・ブラン」。斬新なスタイルのワインだと言えます。

香りはマールボロらしいグレープフルーツが中心なのですが、飲んでみると旨みの強さがダイレクトに伝わってくるのがわかります。

ゆずやかぼすのような和の柑橘を思わせる繊細さがあり、「柑橘の白いワタの部分」のようなほろ苦さが印象的です。

そして、若いワインならではのプチプチした発泡感と酸味の刺激がたいへん心地よく感じられます。

通常のソーヴィニヨン・ブランと比べると後味はドライ。余韻にはミネラル感も感じます。

つくりとしては、ステンレスタンクで通常通り仕込んだフルーティーなワインを40%使用、あとの60%は古樽で野生酵母で発酵させたワインを用い、ブレンドしているとのこと。

つまり、「果実のクリアな旨み」と「奥行きのある複雑な旨み」の良いところ取りをしていると言えると思います。

そして、ブレンドされたワインはろ過をせずに瓶詰めされ、しっかりと濁りがあるワインとして出荷されています。

色々なワイナリーを訪れると、ろ過する手前のワインをテイスティンスさせていただくことがあるのですが、そのワインは非常に旨みが強いことが多いです。

ただ、たいがいのワインはクリアに仕上げるためにろ過をして、出荷されます。このろ過によって、味わいははっきりしたものになる傾向にありますが、同時に複雑な旨みが減ってしまうこともあります。

しかし、この新しいNICOシリーズ ソーヴィニヨン・ブランは、きれいな仕上がりを目指さず、濁ったまま。その結果、やはり旨みたっぷりな味わいに仕上がっています。

木村さんは、このワインを「微笑み（ニコニコ）をもたらしてくれるワインであって欲しい」と言います。

その笑顔をつくるために必要なのは「人を楽しませたい。驚かせたい。」という気持ちだろうと思います。僕は、このワインから、元ホテルマンの木村さんならではの「もてなしの心」を感じました。

ペアとなる食事は･･･

• チコリと海老のサラダ
• ハマチのカルパッチョ
• チキンのハーブソテー
• ガイヤーン

このあたりがビタっとあいそうです。

飲むときは、一度ボトルを逆さまにして、濁りを均一にしてから楽しんでくださいね！

ワイナリー「キムラセラーズ」について

「キムラセラーズ（KIMURA CELLARS）」は、日本人・木村滋久さんによる家族経営のワイナリーです。

木村さんは、ニュージーランドでワイン醸造とぶどう栽培学を学び、現地のいくつかのワイナリーで栽培・醸造の仕事を経験したのち、2009年にマールボロで「キムラセラーズ」を設立しました。

「造り手の顔の見えるワイン」「消費者に近い距離の生産者」をコンセプトに、オーガニック農法にこだわった丁寧なワインづくりを行っています。

2018年からは念願だった自社畑でのぶどう栽培もスタート。より一層オーガニック農法にも力を入れています。

そんなキムラセラーズのロゴは、NZの象徴的な植物である「シダ（koru）」の新芽をサクラで表現したもの。シダはNZの象徴で、「新しい始まり」「成長」「調和」などを意味します。

 産地マールボロについて

「マールボロ」は、NZのワイン産地の中心地です。

豊富な日照量や、1日の中での寒暖差が大きいことなど、ぶどうの生育環境にとって好ましい自然の条件が揃っており、マールボロではNZワインの8割以上が生産されています。

その中でも、キリッとした酸味と溢れる果実味が特徴のソーヴィニヨン・ブランは圧倒的な生産量を誇り、唯一無二のキャラクターとして世界で広く愛されています。また赤ワインでは、豊かなベリー系の果物の味わいが魅力のピノ・ノワールが人気です。

キムラセラーズ ニコシリーズ ソーヴィニヨン・ブラン 2024（Kimura Cellars Nico Series Sauvignon Blanc 2024）

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