上質でドライなソーヴィニヨン

まずはこのワインの特徴をざっくりまとめます。

• ワイン・スペクテーター年間トップ100で第11位に選ばれました。
• ニュージーランド勢としてトップ、ソーヴィニヨン・ブランで世界最高位です。
• 冷涼な気候のマーティンボロ産地が高く評価されました。
  
• 白い花やハーブの香り、ライムやパッションフルーツの酸味が特徴です。
  
• 果実味と植物のニュアンスが調和した複雑な味わいです。
  
• 自然酵母と培養酵母、ステンレスタンクとフレンチオークを併用して作られています。
  
• ジャシンダ・アーダーン元首相の披露宴でも使用されたワインです。

世界No.1のソーヴィニヨン・ブラン！

皆さんは「ワイン・スペクテーター」という名前を耳にしたことがあるでしょうか。

ワイン・スペクテーターとは雑誌の名前。アメリカで1976年に創刊された歴史の長いワイン専門誌です。

その中でも、1万本以上のワインの中からその年の100のワインを決める『年間トップ100』は毎年注目が集まる企画。

上位にランクインされるワインは、ワイン業界から大きな注目を浴び、世界中のスーパーやレストランから注文が殺到することもあります。

そして先日発表された2024年版トップ100で、ニュージーランドを代表する1本が大躍進を遂げました。それがこちらのワインです。

このワインが、年間ランキングで第11位に選出されました。

ニュージーランド勢としてはトップで、ソーヴィニヨン・ブランとしても最高位を獲得。白ワイン全体でも、10位のカリフォルニア・シャルドネに次ぐ2位という快挙を成し遂げました。

多くのワインファンは、ニュージーランドのソーヴィニョン・ブランは「夏場にカジュアルに飲むもの」と思っています。しかし、このランキングではシンプルな果実味メインのワインは上位には食い込むことは出来ません。世界中の高級レストランで提供されるにふさわしい品質が求められます。

そんな中で選ばれたこのワインは、「ソーヴィニヨン・ブランの中で世界一優れている」と、ワインのプロたちに認められたと言えるでしょう。特に注目すべきは、ニュージーランドの大産地マールボロではなく、冷涼な気候の小さな産地マーティンボロのワインが高く評価された点です。

･･･とまあ、ランキングについて長めにお伝えしましたが、肝心なのは、その味ですよね。

では、ここからはレビューに移ります。

色調は、かなり淡いです。透明に近いですね。

香りは、マールボロのようなフルーツ感は控えめ。典型的な派手なニュージーランドワインとは一線を画す、お淑やかな香りです。白い花の香りの中に、ハーブのニュアンスも感じます。

口に含むと、香りでは隠れていたフルーティーさがしっかりと出てきます。そして、ライムやパッションフルーツの心地よい酸味、瑞々しさが際立ちます。全体としてまとまりがあって、非常に透明感がある仕上がりと言えるでしょう。

クラギー・レンジ三代目のデヴィッド・ピーボディJr.氏いわく、「このワインの中にトマトの葉っぱやピーマンの香りが見つかるかも知れない。人によっては好き嫌いが分かれるだろうが、上質なものならば積極的に取り入れるのが僕たちのスタイルだ。」とのこと。

なるほど、確かに香りの奥に植物の葉っぱを連想させるニュアンスがあります。しかし、まったく嫌みはなく、むしろ果実味とあわさることで、香りと味が立体的になっているように感じます。

こういった複雑な要素を持っていることが、ワイン・スペクテーターで投票権を持つワインのプロたちに評価されたのだろうと思いました。

つくりとしては･･･

機械と手摘み、両方で方法で収穫。全房圧搾8%、除梗92%。発酵は自然酵母と培養酵母を併用。さらに、ステンレスタンクとフレンチオークも併用。熟成は3ヶ月。清澄とろ過はしています。

ちなみに、こちらのワインは、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン元首相の披露宴でも使われたワインとしても知られています。

こんな料理と良くマッチします！

• 海老とホタテとルッコラのサラダ
• アスパラガスとゆで卵のサラダ
• 蒸し牡蠣のサルサソース
• レモンソースのローストチキン

とにもかくにも、ワイン雑誌から「2024年の世界No.1ソーヴィニョン・ブラン」と認められたこのクラギー・レンジ テ・ムナ マーティンボロ 2023、まだ在庫があるうちにぜひ一度味わってみてください。

ワイナリー「クラギー・レンジ」について

クラギーレンジは、1998年にニュージーランド北島のホークス・ベイに設立された家族経営のワイナリーです。設立者のテリー・ピーボディ氏は、1993年に妻メアリーさんとともに、次世代に引き継ぐことのできる家族の遺産を作ることを決意しました。

特筆すべきは、既存のブドウ畑を購入するのではなく、未開拓の土地から始めることにこだわったことです。フランスやアメリカ、オーストラリアでの土地探しを経て、最終的にニュージーランドの可能性に魅了されました。この地の温暖な気候、農業の豊かな歴史、そして人々の開拓者精神が、ピーボディ家の理想と合致したのです。

テ・マタ・ピークの壮大な山々を背景に広がる美しい風景の中で、クラギーレンジは、ホークス・ベイとマーティンボロという2つの代表的な産地で収穫したぶどうを使い、それぞれの土地の個性を活かしたプレミアムワインを生産しています。

（引用元: https://craggyrange.com/ ）

ホークス・ベイの特別な区画「ギムレット・グラベルズ」では、温かな石質土壌を活かしてカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、シャルドネを、マーティンボロの冷涼なテ・ムナ・ロードでは、古い粘土質土壌でピノ・ノワール、石灰岩を含む砂利質土壌でソーヴィニヨン・ブランを栽培しているのが特徴です。

ワイナリーの中心施設はギムレット・グラベルズの中心にあり、それぞれのワインに合わせて設計された個別のセラーを備えています。特に「ジャイアンツ・ワイナリー」ではフランス産オーク樽を使用して、複雑な味わいを持つ特別なワイン「ソフィア」を生み出しています。

（引用元: https://craggyrange.com/ ）

彼らのワインの品質と独自性は高く評価されており、『The Real Review』が選ぶ「ニュージーランドトップワイナリー2023」において1位を獲得。2014年には、「ワイン・エンスージアスト」誌から「ニューワールド・ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれました。

ワインだけでなく、レストランや宿泊施設も人気で、地元産の新鮮な食材を使用した季節ごとのメニューなど、訪れる人々に贅沢で心地よい体験を提供しています。また、2018年に設立された「チルドレンズ・クリスマス」プロジェクトでは、ホークス・ベイの恵まれない子どもたちにクリスマスプレゼントを届ける活動を展開しています。

さらに、持続可能なワインづくりにも注力しており、すべてのブドウ畑のオーガニック転換を目指しています。自然環境との共生を重視し、微生物や生物多様性を保護しながら、高品質なワインを生み出すための取り組みを続けています。

ピーボディ家は1000年信託を設立し、ワイナリーが売却されることのない永続的な家族経営を保証。この長期的な視野に立った経営姿勢は、経済的、社会的、環境的な持続可能性への強いコミットメントとなって表れており、クラギーレンジは、ニュージーランドワインの可能性を世界に示す、重要なワイナリーとして確固たる地位を築き上げたのです。

産地ワイララパについて

「ワイララパ」は、NZの北島南東部に位置し、首都ウェリントンから車で 約1時間というアクセスの良さもあり、リゾート地としても人気の地域です 。

この地方にあるサブリージョン「マーティンボロ」は、気候や土壌の条件がフランスの「ブルゴーニュ」とよく似ており、世界でもトップクラスのピノ・ノワー ルの生産地として知られています。

クラギー・レンジ ソーヴィニヨン・ブラン テ･ムナ マーティンボロ 2023（Craggy range Sauvignon Blanc Te Muna, Martinborough 2023）