フレンチスタイルのソーヴィニヨン・ブラン

ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランは、強烈なフルーティーさが最大の特長と言われています。

グレープフルーツの酸味、パッションフルーツの華やかさ、ドライハーブの爽快感。

グラスに注いだ瞬間に、これらの強いアロマが渾然一体となって立ちのぼり、我々を魅了する。

そんなワインが多いです。

が、そればかりではないのです。

今書いたような特徴を持つソーヴィニヨン・ブランは、「フルーツ・ボム（＝果実爆弾）」と呼ばれたりします。

これは褒め言葉というよりは、どちらかといえば「フルーティーすぎることを揶揄する表現」で使われることが多いです。

フルーツ感は抑え、むしろフルーツ以外の要素がたくさんある方が本来のワインらしい。そう考える人もいます。

そして、フルーティーワイン大国のニュージーランドでも、そう考え、あえてフルーツ感をそれほど強調しないつくりをする生産者もいます。

その筆頭とも言えるべき存在が、今日紹介するクロ アンリだと僕は思います。

クロアンリは、フランス・ロワール地方のサンセールの名門「アンリ・ブルジョワ」の言わば分家的存在です。

彼らは、“フランス以外で自らの味わいを追求できる場所はニュージーランドしかない”と目し、本家と同じソーヴィニヨン・ブランを植樹。

20年以上にわたりマールボロの地でフレンチスタイルのワインをつくり続けています。

これまでは、「プティクロ（セカンドライン）」「クロアンリ（フラッグシップ）」という２種類のシリーズが主力でした。

しかし、今年からシリーズ構成ががらっと変化。

比較的手に取りやすいエントリーモデルは、「エステート」となり、上位のキュヴェは「ワイマウンガ」「オティラ」など、大昔に存在した氷河期の名前がつけられました。

ラベルも一新。とても明るくイマドキなデザインになった印象です。

さて、こちらのクロアンリ エステート ソーヴィニヨン・ブラン 2022は、まず口に含むと、レモンのような綺麗な酸味を感じます。そして、キンカンやカリンなどのニュアンスも。しかしその果実の風味はやさしく、印象はあくまでドライ。

最大の特徴は口の中に残るほろ苦さとミネラル感です。柑橘類の白いワタのような心地よい苦みとともに、上顎が乾いた印象になるような、キシキシした余韻をしっかりと感じられます。

これは、通常のマールボロ産ソーヴィニヨン・ブランにはない特徴です。

おそらく硬水のミネラルウォーター（フランスのコントレックスやヴィッテルなど）を飲み慣れている方には、きっとたまらない「硬め」の味わいと言えるのではないかと思います。

こういうミネラル感しっかりのワインは、食事とあわせるとぐんと美味しさが増します。

牡蠣やあさりのような貝類とはかなり相性が良く、また、白身魚の塩焼き、チキンのグリルなどともよくあいます。いずれも仕上げにハーブを散らすとさらにマッチすると思います。

フルーティーすぎない、ドライで食事にあう白ワインをお探しの方には、ぜひお薦めしたい１本。

こんなニュージーランドワインもあるんだ！ときっと驚かれるのではないかと思います。

ワイナリー「クロアンリ」について

クロアンリ（Clos Henri）は、フランス・ロワール地方サンセールのワイン生産者として有名なアンリ・ブルジョワ家のワイナリーです。

ブルジョワ家が自分たちの理想のワインをつくるために世界中の土地から選んだのがNZの産地、マールボロでした。

彼らがマールボロの地で目指すワインは、NZの他の生産者とは異なるフレンチ・スタイル。世界のソーヴィニヨン・ブランファンやピノ・ノワールファンを唸らせる質感豊かでエレガントなワインを生み出しています。 

 産地マールボロについて

「マールボロ」は、NZのワイン産地の中心地です。

豊富な日照量や、1日の中での寒暖差が大きいことなど、ぶどうの生育環境にとって好ましい自然の条件が揃っており、マールボロではNZワインの8割以上が生産されています。

その中でも、キリッとした酸味と溢れる果実味が特徴のソーヴィニヨン・ブランは圧倒的な生産量を誇り、唯一無二のキャラクターとして世界で広く愛されています。また赤ワインでは、豊かなベリー系の果物の味わいが魅力のピノ・ノワールが人気です。

クロアンリ エステート ソーヴィニヨン・ブラン 2022（Clos Henri Estate Sauvignon Blanc 2022）

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