魅惑の味わい　力強いピノ

「エスカロス」という名前は、児童文学書「ホビットの冒険」に出てくる架空の町の名前。

ご存じの通り、ニュージーランドは映画「ホビット」のロケ地です。物語の中では、エスカロスはエルフたちがワインを調達していた場所として描かれており、この畑はそんな物語と関連付けた、ちょっと遊びのあるネーミングと言えるでしょう

この（実在する）エスカロスの畑があるのは、ワインの大産地「マールボロ地方」の中でも比較的傾斜の強い「サザンヴァレー」です。その中の北向きの乾燥した土地を開墾してぶどうが植えられました。

畑の大きさは約１ヘクタール。土壌は粘土質。昼夜の寒暖差が大きく、ぶどうの栽培に向いてるのが特徴です。マールボロ地方ではほとんどの畑で灌漑をしてぶどうを育てているのですが、この畑は珍しく灌漑なし（ドライ・ファームド）で栽培されています。

手摘みで収穫されたぶどうは50%は除梗して発酵させ、50%は全房のまま発酵させます。その後フレンチオーク樽で12ヶ月熟成（新樽比率35%）。

樽熟成のあと、さらに３ヶ月間タンクで寝かし、旨みを逃さぬよう無濾過でボトリングされています。

こうして出来上がった「エスカロス・ヴィンヤード ピノ・ノワール」、味わいの特徴をひと言でいえば、先述したとおり「繊細さと力強さを兼ね備えたピノ」です。

バラ、熟したチェリー、蜜の風味、ローズマリー、樽由来のスパイシーさ、石灰のようなミネラル感。このような要素が次々に鼻腔と味蕾を刺激します。

幾層にも重なった魅力があり、その余韻は非常に長いです。

渋みは滑らか。しかし、しっかりとした濃密な旨みがある。そんなイメージのワインです。

ニュージーランドを代表するマスター・ソムリエ、キャメロン・ダグラスは、このワインに100点満点中97点をつけ「グラン・クリュのワインである」と評しています。

今飲むと、繊細さと力強さが同居している状態を楽しめますが、もちろん熟成にも耐えられるポテンシャルを持っています。

また5〜10年ほど熟成すると、タンニンはシルキーになっていき、森の下草やトリュフのような熟成香が加わってゆくでしょう。

スクリューキャップ栓なので、ブショネの心配はほぼなし。熟成もゆっくりである可能性が高いので、慌てて飲まなくても大丈夫です。

今飲んでもたいへん美味しく、先々のお楽しみにとっておくのもたいへん好適なこのワイン。

きっと記念日のプレゼントにも喜ばれると思いますよ。

おすすめのペアリング

鹿や鴨、ラム肉のステーキとよくあいます。

また、マグロやカツオのグリルとも好相性です。

スパイス感のある味つけが似合います。

ワイナリー「ブランクキャンバス」について

ブランク キャンバス（Blank Canvas）は、ワイン醸造でコンサルタントのマット トムソンが妻のソフィーと共にマールボロで立ち上げたワイナリーです。

夫のマット氏は、2008年のインターナショナル ワイン チャレンジで、Winemaker of the Year を受賞するなどNZを代表する醸造家であり、妻のソフィー氏は2021年に世界最難関のワイン資格である「マスター オブ ワイン」を取得しています。

妥協せずに選び抜いた畑で栽培される最高のぶどうと、こだわり抜いた醸造方法でつくり上げられる彼らのワイン。ソフィーMWとのパートナーシップの下、マット氏の20年以上にも渡る幅広い経験と知識の集大成が、このブランクキャンバスで表現されています。

 産地マールボロについて

「マールボロ」は、NZのワイン産地の中心地です。

豊富な日照量や、1日の中での寒暖差が大きいことなど、ぶどうの生育環境にとって好ましい自然の条件が揃っており、マールボロではNZワインの8割以上が生産されています。

その中でも、キリッとした酸味と溢れる果実味が特徴のソーヴィニヨン・ブランは圧倒的な生産量を誇り、唯一無二のキャラクターとして世界で広く愛されています。また赤ワインでは、豊かなベリー系の果物の味わいが魅力のピノ・ノワールが人気です。

ブランクキャンバス エスカロス・ヴィンヤード ピノ・ノワール 2019（ Blank Canvas Escaroth Vineyard Pinot Noir 2019）