他とは一線を画す「果実味で押さない」ソーヴィニヨン・ブラン

イメージを覆す味わい

「NZのソーヴィニヨン・ブラン」と聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか？

グレープフルーツや青いハーブ、シャキッとした酸と爽やかなフィニッシュ──そんな典型的なニュージーランドSBを想像される方も多いはず。 しかし、今回ご紹介する1本は、そのイメージをやさしく覆してくれます！

ご紹介するのは、アタランギ テ・ワ ソーヴィニヨン・ブラン 2024。 「Te Wā（テ・ワ）」とは、マオリ語で「時と場所」。その名の通り、このワインはマーティンボロ・テラスという特別な土地と、理想的なヴィンテージから生まれた、唯一無二の味わいです。

栽培・醸造

このワインの個性は、畑からすでに始まっています。 春の冷たい南風にさらされるマーティンボロ・テラスでは、ブドウの開花期に房が緩くなり、自然と収量が抑えられます。 さらに深い礫質土壌がブドウの樹勢をコントロールし、小さな樹冠が長い成熟を可能にします。果皮にはしっかりとした風味が、種には熟度が備わります。

醸造スタイルは極めてユニークです。

手摘み100%で醸造所に運ばれたぶどうは･･･

• 20% 全房で発酵
• 10% 果汁を果皮とともに発酵
• 30% 果汁のみステンレスタンク発酵
• 40% 果汁のみ樽発酵

このようにわけて別々のワインとなり、後にブレンドされます。 ぶどうがうまれた「時と場所」を映し出すために、彼らが選んだのがこの仕込みを４つにわけるという方法なのです。

テイスティング

まず香りに驚かされます。 極めてニュートラル。他のNZワインのような派手さは一切ありません。液面に花を近づけてじっくり嗅いでみると、花のような香りが微かに香ってきます。

しかし、このワインは飲み込んだあとに鼻腔に還ってくる香り（レトロネイザル）が素晴らしい。ライム、青りんごに加えて、ローズマリーやジャスミン、さらにはシャーベットのような爽やかな甘さもふんわりと。

味わいは、ただフルーティなだけではありません。 口当たりは滑らかで、ナッツを思わせる旨味が広がり、テクスチャーは豊かで緻密。 余韻は長く、ついつい料理に手が伸び、また料理を飲み込んだ後にも欲しくなる。そんな繰り返しを呼ぶワインです。

ペアリング

「果実味で押す」のではなく、「料理に寄り添う」。 そんな姿勢が感じられるこのソーヴィニヨン・ブランは、以下の料理と特に相性がよいでしょう。

• グリーンアスパラガスのグリル（パルメザンがけ）
• ハーブ香る白身魚のカルパッチョ
• アサリと春野菜の白ワイン蒸し
• ハーブチキンのロースト（レモンソース添え）

いずれも、ワインの持つミネラル感と食欲をそそる旨味が、料理にしっかり寄り添ってくれます。

ワイナリー「アタ ランギ」について

アタ ランギ（Ata Rangi）は、1980年にクライヴ・パットン氏によって設立されたワイナリー。NZ国内では古い歴史をもつワイナリーの1つで、マーティンボロのパイオニアとしても広く知られています。

多くの評論家からNZのトップ5に入ると賞賛されており、特に「ロマネコンティにルーツを持つ」という畑から生まれるピノ・ノワールは、国内外で数多くの賞を受賞しています。

また、自然に優しいサステイナブルなワインづくりに力を入れており、殺虫剤や化学肥料、除草剤などは一切使用していません。代わりに、調合剤やワイルドフラワー、掘り起こした自然の土を散布するなど、有機栽培と一部バイオダイナミック栽培を取り入れています。

ワイナリー名の「アタ ランギ」とは、マオリの言葉で「夜明けの空」、「新たな始まり」を意味する言葉。彼らの土地を敬う心、仕事を反映しています。

産地ワイララパについて

「ワイララパ」は、NZの北島南東部に位置し、首都ウェリントンから車で 約1時間というアクセスの良さもあり、リゾート地としても人気の地域です 。

この地方にあるサブリージョン「マーティンボロ」は、気候や土壌の条件がフランスの「ブルゴーニュ」とよく似ており、世界でもトップクラスのピノ・ノワー ルの生産地として知られています。

アタランギ テ・ワ ソーヴィニヨン・ブラン 2024（Ata Rangi Te Wa Sauvignon Blanc 2024）