このワインの特徴は・・・

• ニュージーランド産のシャルドネで、樽の香りに頼らずぶどう本来の力を引き出したワインです。
  
• 手摘みのぶどうを木樽で発酵・熟成後、ステンレスタンクで熟成させて複雑な味わいを実現しています。
  
• 白桃やライムの果実感、まろやかな酸味、貝殻を思わせるミネラル感が特徴です。
  
• 醸造家ウォーレン・ギブソンさんが、ぶどうのポテンシャルを重視し、あえて樽香をつけない製法を採用しています。
  
• アスパラガスのサラダやホタテのカルパッチョなど、素材の旨みを活かした料理との相性が良いです。

樽の香りに頼らないシャルドネ

シャルドネといえば、その変幻自在な個性で知られるぶどう品種。産地や造り手の意図によって、さまざまなスタイルが生まれるのが特徴です。その中でも、最も一般的なスタイルが「樽シャルドネ」。樽熟成によって、ワインにバニラやスモーキーなニュアンスを加え、複雑でリッチな味わいに仕上げる手法です。

ニュージーランドのシャルドネも、果実味豊かなぶどうを活かしつつ、樽の香りをまとわせたスタイルが多く見られます。フルーティーさと樽由来のリッチさを兼ね備えたその味わいは、多くの人々に愛されています。

しかしこのワインは、そのようなシャルドネとは一線を画す一本。

あえて樽の香りに頼らず、ぶどうそのものの力を最大限に引き出したシャルドネです。それでいて、決してシンプルではない複雑な味わいを備えています。

まずは、その製法に注目してみましょう。

手摘みされたぶどうは優しく圧搾され、大小2種類の木樽に入れて野生酵母で発酵。酸味を和らげるためにマロラクティック発酵を施し、その後、木樽の中で11ヶ月間熟成されます。さらに、ステンレスタンクに移して4ヶ月間、澱とともに熟成させた後、清澄処理を行わずに瓶詰めされます。

製法のポイントは、発酵・熟成後にさらにステンレスタンクで熟成を行う点にあります。

多くのシャルドネが「樽発酵→樽熟成」または「ステンレスタンク発酵→樽熟成」という工程を経る中、このワインでは、樽熟成の後にステンレスタンクへ移し、熟成を続けています。

このプロセスにより、樽の香りを強調するのではなく、ワイン本来の果実味と複雑さを引き出す仕上がりになっています。

樽を使っていないのに「樽の香り」？

先日、トリニティ・ヒルの醸造家ウォーレン・ギブソンさんが来日した際、このワインについてこんなエピソードを話してくれました。

「このワインを飲んだ人から、『樽の香りが素晴らしい』って言われることが多いんだ。

でも、そのたびに『あれ？僕は製造方法を間違えたのかな？』なんて思っちゃうよ。」

冗談を交えながらそう言うウォーレンさんでしたが、彼は、その後、ぶどう自体のポテンシャルが非常に高いから、このワインはあえて樽の香りをつけない。これが僕らのやりたいシャルドネなんだ、と語ってくれました。

味わいとペアリングの提案

試飲した感想としては、驚くほどの複雑さを感じました。熟成で樽を使用していると言われても納得してしまうほどです。

しかし、実際にはステンレスタンク熟成が主体。澱とともに寝かせたことで、ワインには豊かな旨みと凝縮感がしっかりと表現されています。

香りには白桃やライムといったフレッシュな果実感があり、口に含むとまろやかな酸味が広がります。

余韻には貝殻を思わせるミネラル感が感じられ、全体としてフルーティーでありながらたいへん奥行きのある味わいです。

おすすめのペアリング

• アスパラガスとリコッタチーズのサラダ
• ホタテのカルパッチョ（チコリボートにのせて）
• スズキのソテー（ディルソース添え）
• 牡蠣フライ

個人的には、樽のシャルドネのように「バターやクリーム」が多く使われている料理でない方が相性がよいと思います。

素材の旨みを活かした調理法の料理が、このシャルドネの魅力とぴったりあうでしょう。

ワイナリー「トリニティヒル」について

トリニティヒル（Trinity Hill）は、NZ北島ホークス・ベイのワイナリー。かつては川底であった砂利質土壌の土地「ギムレット･グラヴェルズ」の可能性をいち早く見出した、この地区のパイオニア的な存在です。ボルドーブレンドやシラーを得意とします。

産地ホークス・ベイについて

「ホークス・ベイ」は北島東部に位置し、豊富な日照量と比較的温暖な気候が特徴の地域で、国内で2番目に大きなぶどうの栽培面積を誇ります。

ホークス・ベイでは特にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、マルベック、シラーからつくられる赤ワインの生産に力を入れており、白ワインではフルーツ感のあるシャルドネが人気です。

また、もともとは川底であった場所が地震により押し上げられたことにより生まれた「ギムレット・グラヴェルズ」というエリアは、ホークス・ベイの重要なサブリージョンの一つとなっています。

トリニティヒル ギムレットグラヴェルズ シャルドネ 2022（Trinity Hill Gimblett Gravels Chardonnay 2022）

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