やわらか＆ミネラル

まずは、テイスティングの印象から。

色調はやや淡め。明るいベリー系フルーツの印象が強いピノ・ノワールです。

チェリーのコンポートのような凝縮した旨みがあり、飲み込んだ後は、上顎に張り付くようなパウダー状のさらさらしたタンニンを感じます。余韻は長く続き、食事を呼び込んでくれます。

張りを持った酸味、果実味、果実以外の樹木やスパイスの要素、心地よく続くパウダリーな渋み。これらのバランスが良く、ひとくちの満足度がとても高い印象です。

ブルゴーニュの同価格帯のピノ・ノワールにも決して引けを取らない、各要素の質の高さを感じる１本だと思います。

つくり手は、ニュージーランドの大産地「マールボロ」への並々ならぬ愛を、ワイナリー名に冠した「ザ・マールボリスト」。

マールボロで育った経験豊富な３人の男性が立ち上げた、まだ新しいワイナリーです。

我らこそがマールボロのスペシャリストであると言わんばかりの彼らが掲げるのは、

「マールボロのワインを進化させ、今までにないような特別なものをつくる」。

大量生産ではなく手作りにこわだり、日常向けと言うより特別な日に開けたい。そんなワインを生み出しています。

このピノ・ノワールは、有機農法とバイオダイナミック農法を組み合わせて育てられた６つのクローンが使用されています。

手摘みされたぶどうは、一晩冷やされ、大部分は除梗。野生酵母によって自然な発酵が行われます。樽熟成は11ヶ月。瓶詰直前に各バッチをブレンドし、出荷されています。

バイオダイナミック、野生酵母というナチュラル志向な製法ですが、味わいの方向性は極めてピュア。複雑性も兼ね備えた、きれいな仕上がりとなっています。

あわせる料理は、ラタトゥイユ、鶏肉や白身魚のトマトソース煮などがとても相性がよいです。焼き鳥（タレ）、焼き鯖もGOODでしょう。

ワイナリー「ザ・マールボリスト」について

ニュージーランド南島の北端、サザンアルプスと太平洋に挟まれたマールボロは、彼らの故郷です。

彼らはこの地でワインづくりの知識と技術を身に着け、地域の先駆的なワイン生産者の下で働いてきました。

彼らの目標は、マールボロへの愛情をワインを通じて伝えること。そして、NZ最大のワイン産地であるマールボロで、最高のワインを作り出すことです。

そして彼らがつくるワインには、彼ら自身が毎日体験しているマールボロの魅力が表現されているのです。

ワインメーカーであるリッチ・エリスはブレナムを拠点とし、アタランギとグレイワッキでの経験を活かして素晴らしいワインを生産しています

ブドウ栽培の専門家であるスチュ・ダドリーはマールボロ全域を巡り、栽培者を支援し、地域に関する豊富な知識を活かします。

ブランドディレクターであるデイブ・ナッシュはオークランドを拠点に、ブランドとストーリーテリングを担当。彼は、ニュージーランドのワイン産業を描いたドキュメンタリー映画『A Seat at the Table』も制作しました。

彼らはマールボロ全域のいくつかのお気に入りの場所からぶどうを調達し、シンプルな方法でワインを生産しています。

マールボリストのワインは、NZを代表するマールボロという土地の魅力を反映した、美しく表現力豊かで、エレガントさを併せ持っています。

 産地マールボロについて

「マールボロ」は、NZのワイン産地の中心地です。

豊富な日照量や、1日の中での寒暖差が大きいことなど、ぶどうの生育環境にとって好ましい自然の条件が揃っており、マールボロではNZワインの8割以上が生産されています。

その中でも、キリッとした酸味と溢れる果実味が特徴のソーヴィニヨン・ブランは圧倒的な生産量を誇り、唯一無二のキャラクターとして世界で広く愛されています。また赤ワインでは、豊かなベリー系の果物の味わいが魅力のピノ・ノワールが人気です。

ザ・マールボリスト ピノ・ノワール 2022（The Marlborist Pinot Noir 2022）