少量生産のナチュラルワイン

いわゆるナチュラル・ワインのジャンルに入るニュージーランドワインです。

ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランと言えば･･･

「グラスに注いだ瞬間から立ちのぼる華やかな香り」

「柑橘とパッションフルーツの果実味ぎっしり」

「ハーブの青いニュアンスしっかり」

これが典型的な特徴ですが、このワインはその要素があまり強くは感じられません。

香りは穏やか。柑橘の香りもありますが、どちらかと言うとマーマレードのような煮詰めた柑橘の皮のニュアンスが優勢で、ハーブというよりもミルキーさを感じます。

華やかというよりは、ホッとするような味わいで、じんわりと旨みが長く続くタイプだと思います。

実際に、開栓してから４日ほど経過を見てみましたが、酸化とともに「より角が取れて旨みを感じやすくなる」印象でした。

はっきりした味わいのNZワインも良いですが、こんなタイプのワインも家飲みには良いなと思いました。

和食全般との相性は良く、特にアジフライ、チキンカツ、天ぷらなどの揚げ物にはばっちり寄り添ってくれると思います。

ちなみに、NZの典型的なスタイルをつくるには、ステンレスタンクで温度を低温に管理しながら発酵させることが必要になります。

しかし、このワイナリーのポリシーは「なるべく人手の介入を少なくすること」。

醸造するのもステンレスタンクではなく、オークの古樽を使い、野生酵母で発酵させます。清澄をせず、ろ過はしても最小限にとどめていて、出来上がったワインの旨みを逃すことなく瓶詰めしています。

このマラソンダウンズ、まだはじまったばかりのワイナリーで、流通量も限られています。

気になった方はお早めに！

ワイナリー「マラソンダウンズ」について

マラソンダウンズは、コロナ禍におけるロックダウンのフラストレーション、そしてワイナリーのオーナーであるジェスとニックの情熱によって2021年に誕生しました。それ以来ラインナップを成長、進化させながら、手作りでユニークなワインをつくっています。

ワイナリー名の「マラソンダウンズ」とは、ジェスの家族がマールボロのアワテレ・ヴァレーで経営する農場の名前で、彼女はその農場の4世代目です。

彼女の家族は120年以上その土地に住み、羊、牛、そして耕作用作物を農場で育て、契約栽培者としてワイン用ぶどうも栽培していました。

ジェスとニックが心がけているのは、人の手の介入を極力抑えること。思慮深く、そして熱意を持ってワインをつくっています。発酵には野生酵母を使用し、オークの古樽で熟成。すべてのワインは清澄しておらず、濾過は最小限にとどめるか無濾過で瓶詰めされます。

環境の持続可能性も重要視しており、軽量のグリーンガラスやリサイクル性の高いコルク栓を採用。また、彼らの農場では生物の多様性を高めるために、毎年樹木を植えています。

産地マールボロについて

「マールボロ」は、NZのワイン産地の中心地です。

豊富な日照量や、1日の中での寒暖差が大きいことなど、ぶどうの生育環境にとって好ましい自然の条件が揃っており、マールボロではNZワインの8割以上が生産されています。

その中でも、キリッとした酸味と溢れる果実味が特徴のソーヴィニヨン・ブランは圧倒的な生産量を誇り、唯一無二のキャラクターとして世界で広く愛されています。また赤ワインでは、豊かなベリー系の果物の味わいが魅力のピノ・ノワールが人気です。

マラソンダウンズ ソーヴィニヨン・ブラン 2022（Marathon Downs Sauvignon Blanc 2022）