新星がつくるブルゴーニュスタイル

シャルドネは、ニュージーランド屈指のシャルドネ産地であるホークス・ベイでつくっている彼らですが、赤ワインのピノ・ノワールはホークス・ベイではなく、マーティンボロ産のぶどうを使っています。

ニュージーランドの中でも非常にクオリティの高いピノ・ノワールがつくられる場所として知られるマーティンボロは、ピノの故郷ブルゴーニュにたいへん気候や土壌などの条件が似ていると言われています。

高品質なシャルドネで勝負に出るヘリオが、いったいどんなピノ・ノワールをつくるのか。

品が良く、見事に味わいが調和したシャルドネを味わった後だけに、個人的にピノへの期待もたいへん高まります。

それではいざ、テイスティング。

色はルビー。若々しい印象です。

立ちのぼる香りは、最初はやや閉じた印象。スワリングを繰り返すと、徐々にラズベリーの香りが出てきます。そして、すもも、ダークチェリーも。

さらに、クローブなどのスパイスのニュアンスもバラやスミレの花の香りもはっきりと感じられます。フルーツが突出しておらず、スパイス感と渾然一体となっている印象。これは、期待が高まります。

口に含むと、香りから繋がるフルーツ感とスパイス感が心地よく広がります。チェリーやカシスの風味があり、そこにナツメグやクローブのスパイシーさが溶け込んでいます。

タンニンは中程度で、ココアパウダーのようなイメージも。旨みがしっかりと余韻に残り、食事を呼び寄せます。

これは５〜１０年の熟成も期待できそう。

全体としては、フルーツが主体のニュージーランドスタイルではなく、やはりブルゴーニュに近づけたバランスで味わいを整えている印象です。

シャルドネのみならず、ピノ・ノワールだって上質につくれる腕がある。そんな自信を見せつけられた気がします。お見事！

あわせる食事は、鴨や鶏、豚がよいでしょう。グリルで焼き目をしっかりつけてください。

ベリーのソース、バルサミコ酢を使えばなお相性が上がります。仕上げにタイムなどのハーブをあしらってみて。

ちなみに、このヘリオのワインは、コルク栓＋蝋キャップです。

開けるときは、蝋の上からブスッとソムリエナイフのスクリューを差し込んで、ぐいぐいと回し込んで抜いてください。ちょっと力が要ります。

ワイナリー「ヘリオ」について

ヘリオ（Helio）は、ニュージーランドのホークスベイ地方に拠点を置く新進気鋭のワイナリーです。

設立者のマット・カービー、サラ・リトル、デイブ・ナッシュの3名は、世界クラスのシャルドネ生産に対する情熱を共有しています。

ヘリオの誕生は、ニュージーランドワインのドキュメンタリー「A Seat at the Table」の撮影中に、マットとデイブが出会ったことがきっかけでした。

マットの妻であり、元フェルトン・ロードのワインメーカーでもあるサラを加えた3人は、ホークスベイのシャルドネの可能性を世界に示すという共通のビジョンを持っていました。

ワイナリー名の「ヘリオ」は、ラテン語で太陽を意味する「ヘリオス」に由来します。

これは、ホークスベイ地方の特徴的な日照条件がワイン造りに理想的であることを象徴しています。適度な日照時間がブドウの完璧な熟成を可能にし、結果として高品質なワインが生まれるのです。

ヘリオは、太陽がワイン造りの根源であるという哲学のもと、ホークスベイの恵まれた気候を活かし、世界に通用するシャルドネの生産に注力しています。このワイナリーは、ニュージーランドワインの新たな可能性を体現する存在として、今後の展開が注目されています。

産地ワイララパについて

「ワイララパ」は、NZの北島南東部に位置し、首都ウェリントンから車で 約1時間というアクセスの良さもあり、リゾート地としても人気の地域です 。

この地方にあるサブリージョン「マーティンボロ」は、気候や土壌の条件がフランスの「ブルゴーニュ」とよく似ており、世界でもトップクラスのピノ・ノワー ルの生産地として知られています。

ヘリオ ピノ・ノワール 2022（Helio Pinot Noir 2022）