熟成を楽しむソーヴィニヨン・ブラン

初めてこのワインを現地で飲んだとき、あまりの変化に思わず、たまげました。1年前に日本で試飲したものとは、まるで別物だったのです。

それもそのはず――このソーヴィニヨン・ブランは熟成によって驚くほど表情を変えるワインなのです。

「今、美味しいと思いますよ」と、淡々と語る小山浩平さん。

しかし、共にいたワイン関係者と顔を見合わせて言いました。

「いやいや、これは……かなり凄いワインですよ！」

原料と醸造

使用されるのは100％オーガニック栽培のソーヴィニヨン・ブラン。
実はこの原料、同じく小山さんが手がける「URLAR」と同じ畑のもの。

違うのは、その造り方。
手摘み後、梗を外さずに全房のまま開放桶へ投入。
低温管理はせず、常温で約2週間スキンコンタクトしながら発酵。
一日一回の櫂入れをしつつ、果皮や種から旨みとアロマを引き出します。
その後除梗し、古樽で5ヶ月熟成。無濾過で瓶詰めされます。

味わいと香り

まず目を引くのは鮮やかな黄金色。
一般的なソーヴィニヨン・ブランの透明感あるグリーンとは一線を画します。

香りには、赤りんごやマンゴー、カリン、そしてほのかに蜂蜜。
パッションフルーツや柑橘の印象よりも、濃密で奥深い果実の熟成感が前面に出ます。
滑らかなテクスチャー、上顎をくすぐるようなミネラル感、そして長く続く余韻。
もはやこれは、「ソーヴィニヨン・ブラン」という枠を越えた唯一無二のフルボディスタイルです。

 ペアリング提案

このワインの懐の深さを感じるのは、その驚くほど広いペアリングの幅。
特に、和食との相性は抜群です。

■ 和食

• 天ぷら（エビやキス、野菜）
  　油の香ばしさとテクスチャーが絶妙に調和。

• 豚肉と白菜の鍋／鶏肉のみぞれ和え
  　やさしい甘みと酸味が、出汁や薬味と好相性。

■ 洋風

• 豚ロースのグリル＋マスタードソース
  　ワインの厚みが、肉と調味料にしっかり寄り添います。

• 白カビ系チーズ（ブリー・カマンベール）
  　熟成香と果実味が共鳴し、官能的な余韻に。

■ 中華

• 油淋鶏（ユーリンチー）
  　揚げた鶏の香ばしさ、香味ダレの甘酸っぱさが、ワインの果実味と抜群にマッチ。ミネラル感が油をスッと流してくれます。

• 黒酢の酢豚
  　黒酢の深みある酸味と果実のコク、ソースの甘味と蜂蜜のようなニュアンスが響き合います。

最後に

「ソーヴィニヨン・ブラン」のイメージを覆す、ファンキーで緻密に設計された1本。
小山浩平さんの“遊び心と未来予測の力”が詰まった、体験すべき、驚きの白ワインです。

ワイナリー「グリーンソングス」について

「グリーンソングス（Green Songs）」は、日本人醸造家の小山浩平さんが営むワイナリーです。

浩平さんは、東京・ロンドンを舞台にビジネスの世界で活躍されたあと、2011年にワインづくりを志しNZへと渡りました。

国立リンカーン大学ではぶどう栽培・ワイン醸造を学び、日本人初の首席で卒業。その後はNZやカリフォルニアでワインづくりを実際に学び、2014年、ついにネルソン地方にあるアタマイ・ヴィレッジとパートナーシップを組み、自身のワイナリーを設立しました。

このアタマイ・ヴィレッジは、地球環境にできるだけ負担の少ない暮らしを共通の目的とし、果樹園や農場などが共同で運営されています。

また浩平さんは、ワイララパ地方グラッドストーンにある「アーラー（URLAR）」というワイナリーの栽培醸造責任者でもあります。「アーラー」は、鹿児島県の西酒造8代目当主である西 陽一郎さんがオーナーを務めるワイナリー。

現在はグラッドストーンを中心に活動し、グリーンソングスのラインナップも更に充実させ、ワインづくりの幅を広げる浩平さん。今後の活躍にも期待が膨らみます。

産地ワイララパについて

「ワイララパ」は、NZの北島南東部に位置し、首都ウェリントンから車で 約1時間というアクセスの良さもあり、リゾート地としても人気の地域です 。

この地方にあるサブリージョン「マーティンボロ」は、気候や土壌の条件がフランスの「ブルゴーニュ」とよく似ており、世界でもトップクラスのピノ・ノワー ルの生産地として知られています。

グリーンソングス ファンキー ソーヴィニヨン・ブラン 2020（Green Songs Funky Sauvignon Blanc 2020）

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