果実味しっかり＋バターの風味

シャルドネと言えば、最も有名な白ワイン用のぶどう品種。

ですが、最も「没個性的な品種」でもあることは、案外知られていないかも知れません。

ソーヴィニヨン・ブランやリースリング、ゲヴュルツトラミネールと言ったぶどうは「アロマティック品種」と呼ばれます。

芳香性が高く、香りにオリジナリティが出やすい品種群です。

それに対してシャルドネは、香りが控えめで、共通した個性がそれほど強く感じられない「ニュートラル品種」と呼ばれる群に入ります。

そう、乱暴に言ってしまえば、没個性となるわけです。

しかし、裏を返せばそこが魅力。

産地によって味わいがガラッと変わってきますし、また醸造の仕方を工夫すれば多様なスタイルにつくりあげることができる品種なのです。

つまり、シャルドネはつくり手の個性が発揮しやすいぶどうとも言えるのです。

今日ご紹介するのは、そんなシャルドネを「ニュージーランド風に上手に料理した」とも言える１本です。

フィストニッチ・ファミリー・ヴィンヤーズ オブリックス シャルドネ 2021

つくり手は「フィストニッチ・ファミリー・ヴィンヤーズ」。

名門ヴィラ・マリアの創設者で、ニュージーランドワイン業界の父とも言われるサー・ジョージ・フィストニッチと、才女ミシェル・リチャードソンのタッグによって誕生した新しいワイナリーです。

今回ニューリリースされたこのシャルドネは、グラスに注いだとたんに、バニラやバターのような香りが立ちのぼります。

そう、これは樽の風味がついているワインの証拠。シャルドネの本場、ブルゴーニュの白ワインを思わせる良い香りです。

しかし、口に含むと、その印象は一変します。

実にフルーティー。白桃やアンズ、グレープフルーツのような香りが口いっぱいに広がります。

後味に残るのは、樽に由来するブリオッシュの香りとジンジャーのようなスパイス感。まろやかな口当たりでクリーミーさも感じられる一方で、上顎に残るミネラル感も心地よいです。

この香りと味わいのギャップ、とても面白いです。

ニュージーランドの白ワインと言えば、何と言ってもフルーツ感がしっかり感じられるのが特徴です。

その味わいをしっかりと追求しながらも、リッチな樽の風味をそこにまとわせている。さらにミネラルの複雑さも織り込んでいる。

実に「ニュージーランド的」であり、全体としては親しみやすい味わいではあるものの、味わいのレイヤーが何層にも重なっている印象です。

さすが、ニュージーランドのトップワインメーカーを3年連続受賞したミシェルさん。味のまとめ方、料理の仕方が秀逸です。

使っているぶどうは、北島ホークスベイの中でも最上級のぶどうを生む特区「 ギムレット・グラヴェルズ」産です。

良質なワインは、良質なぶどうから、ですね。

この多層的な味わいのシャルドネが、4,510円。個人的にはお買い得な値付けではないかなと思います。

お供に良いのは･･･

• レモンクリームソースのパスタ
• チキンやポークのチーズ焼き
• 海老とキノコのバターソテー
• じゃがバタ

このあたりがバッチリでしょう！

ワイナリー「フィストニッチ・ファミリー・ヴィンヤーズ」について

「フィストニッチ・ファミリー・ヴィンヤーズ」は、NZの大手ワイナリーの一つである「ヴィラマリア」の創業者として、ニュージーランドのワイン業界をけん引してきたサー・ジョージ・フィストニッチによって2021年に立ち上げられたワイナリーです。

そしてチーフ・ワインメーカーを務めるのは、過去にニュージーランドトップワインメーカーを3年連続受賞した輝かしい経歴をもつミシェル・リチャードソン。彼女は直感と深い知識で、国、産地、ブドウ畑、単一畑の美しさを、ワインの中に表現します。

現在、ホークス・ベイとマールボロ各地に素晴らしいブドウ畑を所有しており、その中にはギムレット・グラヴェルズのコーナーストーンや、アワテレ・ヴァレーのバロックデールなどがあります。

産地ホークス・ベイについて

「ホークス・ベイ」は北島東部に位置し、豊富な日照量と比較的温暖な気候が特徴の地域で、国内で2番目に大きなぶどうの栽培面積を誇ります。

ホークス・ベイでは特にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、マルベック、シラーからつくられる赤ワインの生産に力を入れており、白ワインではフルーツ感のあるシャルドネが人気です。

また、もともとは川底であった場所が地震により押し上げられたことにより生まれた「ギムレット・グラヴェルズ」というエリアは、ホークス・ベイの重要なサブリージョンの一つとなっています。

フィストニッチ・ファミリー・ヴィンヤーズ オブリックス ソーヴィニヨン・ブラン 2023（Fistonich Family Vineyards Oblix Chardonnay　2021）