均整のとれた マルベック

赤ワインが好きな方なら、マルベックというぶどう品種をご存じかも知れません。

非常に色が濃く、味わいも濃厚。フランスのカオール（南西地方）の名産品種で、あちらでは黒ワインと呼ばれるほど黒みがかった色合いで、渋みも強めです。

また、マルベックはアルゼンチンでは主力の品種となっていて、あちらの肉食文化にぴったりな、凝縮感があるパワフル系赤ワインが多くつくられています。

アルゼンチン産マルベックは、カオール産と比べると果実味が豊かで、渋みがややまろやかなワインが多い印象です。

そして、ニュージーランドでもわずかではありますが、マルベックのワインが存在しています。

主な産地は北島のホークスベイ。

ホークスベイは、ニュージーランドの中では温暖な気候の地域ですが、カオールやアルゼンチンの生育環境ほどは温暖ではありません。

出来上がってくるワインもガツンとくるようなパンチのある味わいではなく、やや優しく柔らかい風味になるものが多いです。

今日紹介するこちらのデシベル ギムレット・グラヴェルズ マルベック 2018もまさにそんな柔らかい風味。ミディアム寄りのフルボディの赤です。

このワインは、ホークスベイの中でも特別な区画「ギムレット・グラヴェルズ 」で育てられたぶどうを使用しています。

つくり手のデシベルワインズは、2009年からマルベックのワインを生産しており、現在マルベックは彼らのワインのアイデンティティー的な位置づけとなっています。

このワインは、野生酵母による発酵後、オーク樽で21ヶ月間の熟成を経て、瓶詰めされ出荷されています。他のワイナリーと比べて樽内での熟成期間は長めと言えるでしょう。

色は深紫色。スミレやブラックベリー、アメリカンチェリーの香りが複雑に混じり合います。

ほどよい酸味と、適度なスパイシーさ、柔らかなタンニンを感じることができ、全体として均整が取れた味わいとなっています。

瓶内での熟成のポテンシャルもしっかりとあり、2028年頃までは美味しく飲めることと思います。

良いペアとなる料理は･･･

• カスレなどの豆の煮込み料理
• トリッパのトマト煮込み
• 牛肉のしぐれ煮
• すき焼き
• 厚切りの牛タンステーキ
• ラムのステーキ

こんな料理はよくあいます。

ほどよくスパイスを効かせると相性はさらに高まります。

ワイナリー「デシベルワインズ」について

デシベルワインズ（Decibel Wines）は、ニューヨーク生まれフィラデルフィア育ちの元ミュージーシャン、ダニエル・ブレナン氏によって設立されたワイナリーです。

異色の経歴を持つ彼ですが、ワインとの関わりは古く、そのルーツは彼の祖先にあります。曽祖父はイタリアのシチリアでワインづくりを行っており、祖父の代でアメリカに移住。家族で経営するレストランでは、ニュージーランドワインも扱っており、ダニエルは若い頃からNZワインに触れ、その可能性の高さを感じていました。

その後、カルフォルニアやイタリアで修行をつみ、理想の地を求めNZに移住します。NZでは、ホークス・ベイで醸造学を学びつつ、地元のワイナリーにてワインづくりを行い、2009年に自身のワイナリーを立ち上げました。

デシベルワインズでは、ホークス・ベイ、マーティンボロ、ネルソンなど、各地の契約農家からのぶどうを使用し醸造を行っています。それらの農家の畑はサステイナブル認証を得ており、一部の畑では有機農法やビオディナミック農法に移行しています。　

産地ホークス・ベイについて

「ホークス・ベイ」は北島東部に位置し、豊富な日照量と比較的温暖な気候が特徴の地域で、国内で2番目に大きなぶどうの栽培面積を誇ります。

ホークス・ベイでは特にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、マルベック、シラーからつくられる赤ワインの生産に力を入れており、白ワインではフルーツ感のあるシャルドネが人気です。

また、もともとは川底であった場所が地震により押し上げられたことにより生まれた「ギムレット・グラヴェルズ」というエリアは、ホークス・ベイの重要なサブリージョンの一つとなっています。

デシベル ギムレット・グラヴェルズ マルベック 2018（Decibel Gimblett Gravels Malbec 2018）

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