ワイン紹介の概要

• クラギー・レンジのシャルドネは、ドライでフレッシュなスタイルを採用し、フランスのシャブリを手本にしています。
• 香りは柑橘や海の潮を感じさせ、味わいはキリッとした酸味と控えめな樽風味、ミネラル感が特徴です。
• ぶどう畑キッドナッパーズ・ヴィンヤードは冷涼な海沿いに位置し、海風の影響を受けています。
• 料理との相性が良い控えめなワインです。
• 全房圧搾70%、除梗後圧搾30%、11ヶ月樽熟成（新樽比率15%）。
• 推奨される料理例には、蒸し牡蠣＋レモンやタラのバタームニエルなどがあり、料理との調和で真価を発揮します。

ニュージーランドのシャブリ？

シャルドネと言えば、どんな味を思い浮かべますか？

個性がそれほど強くない品種であるため、育った環境や醸造方法によって驚くほど多様な表情を見せるのが特徴です。

たとえば、冷涼な気候で育ったシャルドネは、柑橘系のフレッシュな酸味がある一方、温暖な地域で作られたものは、熟したトロピカルフルーツの濃厚さを持ちます。

また、オーク樽を使って熟成させると、香ばしいバニラやナッツのようなニュアンスが加わり、ステンレスタンクで仕上げたシャルドネは、フルーツそのものの純粋な味わいを楽しめるスタイルに。

シャルドネの面白さは、その多様性。

ワイン造りの手腕がそのまま表れる「キャンバス」のような存在であると言えるかも知れません。

さて、今日紹介するシャルドネは、いったいどんな表情をもったワインなのかというと・・・

ホークスベイの雄「クラギー・レンジ」がつくるシャルドネは、ずばり「ドライでさらっとした、クールな味」。

樽で熟成させているものの、味わいへの影響は最小限にとどめ、果実のフレッシュさを前面に押し出すスタイルを採用しています。

彼らはこのワインを「フランスのシャブリをお手本にしている」と言います。

実際、テイスティングしてみると･･･

色は薄め、香りは柑橘の香りが中心で、やや穏やかです。海の潮のようなアロマも感じます。

味わいは、レモンのようなキリッとした酸味がしっかりと感じられ、そこにカシューナッツのような樽由来の風味が控えめに寄り添います。後味はドライ。牡蠣の貝殻のようなミネラル感が続き、食事を呼び込みます。確かにシャブリと似た印象。

主張が強くない分、料理との調和がとりやすいワインと言えると思います。

このワインに使われるぶどうの畑キッドナッパーズ・ヴィンヤード（昔、侵略者であるクック船長が子どもを誘拐したことから命名された土地）は、岬の海沿いに位置します。温暖な気候で知られるホークス・ベイの中ではやや冷涼なエリアです。

ぶどうは強い海風を受けて育ち、ワインにもその影響がしっかりと感じられます。

このヴィンテージは、全房圧搾が70%、残り30%は除梗後に圧搾されています。自然酵母と培養酵母を組み合わせて発酵を行い、発酵後は11ヶ月樽熟成（新樽比率は15%）。

先日、東京で行われたマスタークラスセミナーで、クラギー・レンジの3代目であるデヴィッド・ピーボディJrさんは、「このシャルドネは、フレッシュでクリスピー。シーフードにぜひあわせてみて」と言っていました。

僕もまさにその通りだと思いました。シャブリと同じようなペアリングが良さそうです。

• 蒸し牡蠣＋レモン
• タラのバタームニエル（パセリソース）
• チコリボートの海老のタルタル
• ホタテとヤングコーンのサラダ
• グリーンリーフとシェーブルのピザ
• こんな料理とあわせてみてください。

このワインは、一見控えめな印象を受けるかもしれません。でも、こういったの料理と組み合わせることで、ワインの真価が引き出されるはず。

繊細な味わいが調和し、豊かな余韻を楽しむことができるでしょう。

ワイナリー「クラギー・レンジ」について

クラギーレンジは、1998年にニュージーランド北島のホークス・ベイに設立された家族経営のワイナリーです。設立者のテリー・ピーボディ氏は、1993年に妻メアリーさんとともに、次世代に引き継ぐことのできる家族の遺産を作ることを決意しました。

特筆すべきは、既存のブドウ畑を購入するのではなく、未開拓の土地から始めることにこだわったことです。フランスやアメリカ、オーストラリアでの土地探しを経て、最終的にニュージーランドの可能性に魅了されました。この地の温暖な気候、農業の豊かな歴史、そして人々の開拓者精神が、ピーボディ家の理想と合致したのです。

テ・マタ・ピークの壮大な山々を背景に広がる美しい風景の中で、クラギーレンジは、ホークス・ベイとマーティンボロという2つの代表的な産地で収穫したぶどうを使い、それぞれの土地の個性を活かしたプレミアムワインを生産しています。

（引用元: https://craggyrange.com/ ）

ホークス・ベイの特別な区画「ギムレット・グラベルズ」では、温かな石質土壌を活かしてカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、シャルドネを、マーティンボロの冷涼なテ・ムナ・ロードでは、古い粘土質土壌でピノ・ノワール、石灰岩を含む砂利質土壌でソーヴィニヨン・ブランを栽培しているのが特徴です。

ワイナリーの中心施設はギムレット・グラベルズの中心にあり、それぞれのワインに合わせて設計された個別のセラーを備えています。特に「ジャイアンツ・ワイナリー」ではフランス産オーク樽を使用して、複雑な味わいを持つ特別なワイン「ソフィア」を生み出しています。

（引用元: https://craggyrange.com/ ）

彼らのワインの品質と独自性は高く評価されており、『The Real Review』が選ぶ「ニュージーランドトップワイナリー2023」において1位を獲得。2014年には、「ワイン・エンスージアスト」誌から「ニューワールド・ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれました。

ワインだけでなく、レストランや宿泊施設も人気で、地元産の新鮮な食材を使用した季節ごとのメニューなど、訪れる人々に贅沢で心地よい体験を提供しています。また、2018年に設立された「チルドレンズ・クリスマス」プロジェクトでは、ホークス・ベイの恵まれない子どもたちにクリスマスプレゼントを届ける活動を展開しています。

さらに、持続可能なワインづくりにも注力しており、すべてのブドウ畑のオーガニック転換を目指しています。自然環境との共生を重視し、微生物や生物多様性を保護しながら、高品質なワインを生み出すための取り組みを続けています。

ピーボディ家は1000年信託を設立し、ワイナリーが売却されることのない永続的な家族経営を保証。この長期的な視野に立った経営姿勢は、経済的、社会的、環境的な持続可能性への強いコミットメントとなって表れており、クラギーレンジは、ニュージーランドワインの可能性を世界に示す、重要なワイナリーとして確固たる地位を築き上げたのです。

産地ホークス・ベイについて

「ホークス・ベイ」は北島東部に位置し、豊富な日照量と比較的温暖な気候が特徴の地域で、国内で2番目に大きなぶどうの栽培面積を誇ります。

ホークス・ベイでは特にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、マルベック、シラーからつくられる赤ワインの生産に力を入れており、白ワインではフルーツ感のあるシャルドネが人気です。

また、もともとは川底であった場所が地震により押し上げられたことにより生まれた「ギムレット・グラヴェルズ」というエリアは、ホークス・ベイの重要なサブリージョンの一つとなっています。

クラギー・レンジ シャルドネ キッドナッパーズ・ヴィンヤード ホークス・ベイ 2022（Craggy range Chardonnay  Kidnappers Vineyard, Hawke’s Bay 2022）