なめらかミディアムピノ・ノワール

ニュージーランドのピノ・ノワールは確実に美味しい。でもちょっとお値段が高い。

そう思っている方に試していただきたいのがこのワインです。

この価格のピノ・ノワールとしては、バランスが秀逸です。

香りはラズベリー。味わいは、明るいベリー系とブラックベリーなどのダークフルーツの要素が感じられ、その奥にはカカオの香ばしさも。

どの要素も出過ぎることはなく、全体として滑らかさがあり、やや軽めに仕上がっています。

この手の「やさしく、まとまりのあるピノ」はトマトソースとの相性が抜群です。

たとえばチキンとキノコのトマトソースパスタ（煮込み時間は短めで）、ラザニアなどはよくあうでしょう。

また和食との相性も良く、例えば筑前煮や豚の角煮などのみりんとしょうゆを使った料理には寄り添わせやすいです。

マグロやカツオなどの赤身の魚との相性も良好ですよ。

「クーパーズ・クリーク ホークス・ベイ ピノ・ノワール」の名前のとおり、このワインは北島のホークス・ベイ産です。

ですが、ニュージーランドにおけるピノ・ノワールの３大銘醸地と言えば、マールボロ、セントラル・オタゴ、マーティンボロ（ワイララパ）。

このワインの産地ホークス・ベイは、本来ならばメルローやカベルネのようなフルボディタイプのぶどうが向いている温暖なリージョンです。

しかし、それはあくまでも一般論。ひとつのリージョンの中には、さまざまな特徴を持つ小地区が存在します。

このクーパーズ・クリーク ホークス・ベイ ピノ・ノワールのぶどうが育てられているのは、ホークス・ベイの中でも内陸部に位置する「マラエカカホ」にあります。

ここは西側にルアヒネ山脈があり、そこから吹き下ろす風の影響で比較的涼しく、昼夜の寒暖差がしっかりあります。全体として温暖なホークス・ベイの中でも、冷涼品種であるピノ・ノワールに向いている土地なのです。

現に、マラエカカホは日本資本の「大沢ワインズ」が拠点にしている地区で、その大沢ワインズは、ホークス・ベイにありながら上質なピノ・ノワールを生み出しているワイナリーとして知られています。

つまり、濃い赤ワイン産地であるホークス・ベイにおける小さなピノ・ノワール産地、それがマラエカカホである、と言えます。

なお、理由は不明なのですが、現在は本国のクーパーズ・クリークのサイトから、このホークス・ベイ産のピノ・ノワールは消えています。よって、今後はもしかしたら日本への流通がストップする可能性もあります。

その前に、ぜひ、やわらかくバランスの良いこちらのピノをぜひ味わってみてください。

ワイナリー「クーパーズ・クリーク」について

クーパーズクリークは、1980年にニュージーランドで設立された家族経営のワイナリー。オークランドから北西に車で約25分のフアパイとクメウ地方に位置します。

創業者のアンドリューとシンシア・ヘンドリー夫妻は、ニュージーランドの冷涼な気候を活かした最高品質のワイン生産を目指してワイナリーを運営。アンドリューのワイン業界での経験とシンシアの自営業での成功が、ワイナリーの成功への鍵となりました。

4ヘクタールの土地でシャルドネとメルローを栽培を始め、1982年に最初のヴィンテージを生産。その後すぐにローカル市場に出荷されました。

1980年代、ワイナリーは着実に成長し、ホークスベイに2つ目のぶどう畑を取得しました。

また同時に、国内にある主要なワイン産地の畑との関係を築き、ワインのポートフォリオを拡大しています。彼らは、常にぶどうが最も良く育つ地域から調達することを重要視しており、これは生産されるワインにも反映されています。

1990年代には、品質の高いワインを提供する小規模ワイナリーとして高い評価を得ます。数々のワインショーでの成功を背景に、10年間で最も優れた中小規模ワイナリーの一つとして認められました。

また、海外市場との提携を積極的に模索。これらの努力が実を結び、1997年にはニュージーランド政府から特別表彰を受けました。

特に、多くの賞を受賞した彼らのアルバリーニョは、彼らの革新的な精神の象徴となっています。

2022年に、トイトイワインズを設立したジョイス家と合併し、マールボロ・ワイン・グループの一員となりました。グループのワインメーカーであるアント・マッケンジーが、クーパーズクリークの名声を築いた品質、スタイル、伝統を守りながら、ワイン製造を管理しています。

現在も家族経営を続け、創業時の理念を大切にしながら人気ワイナリーの一つとして成長を続けています。

そのワインは世界中で販売され、ロンドンからロサンゼルス、トロントから東京まで、多くの場所で入手可能です。

産地ホークス・ベイについて

「ホークス・ベイ」は北島東部に位置し、豊富な日照量と比較的温暖な気候が特徴の地域で、国内で2番目に大きなぶどうの栽培面積を誇ります。

ホークス・ベイでは特にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、マルベック、シラーからつくられる赤ワインの生産に力を入れており、白ワインではフルーツ感のあるシャルドネが人気です。

また、もともとは川底であった場所が地震により押し上げられたことにより生まれた「ギムレット・グラヴェルズ」というエリアは、ホークス・ベイの重要なサブリージョンの一つとなっています。

クーパーズ・クリーク ホークス・ベイ ピノ・ノワール 2018（Coopers Creek Hawke's bay Pinot Noir 2018）