果実味豊かタンニンはシルキー

突然ですが、ピノ・ノワールには多くのクローンが存在することをご存じでしょうか。

クローンと言うと、生物学では「遺伝的に同じ個体」のことを指しますが、ワイン用語では「同じぶどうの株を起源に持っているもの」という意味で使われます。

ピノ・ノワールは突然変異が起きやすい品種として知られています。変異した株から育てられたぶどうは、同じピノ・ノワールと言えども、異なる性質を持ちます。

つまり、ひとくちにピノ・ノワールと言っても、異なるクローンであれば、早熟だったり、酸が豊富に含まれたり、土っぽいニュアンスの味になったりと、かなり多様性が生まれるのです。

そして、多くのワイナリーは複数のクローンのぶどうをうまく組み合わせています。

カタリナ・サウンズでは、異なる性質を持ったクローンをいっしょに育てることはせず、区画を区切った畑で栽培しています。

クローン別にベストなタイミングで収穫されたぶどうは、クローンごとにタンクを分けて醸造されます。そして、別々の木樽の中で熟成されます。

こうすることで、それぞれのクローンが持つ特徴がより明確になります。

そして、出来映えによって比率を調整しながらブレンドし、ようやく瓶詰、瓶熟成、出荷となります。

これがカタリナ・サウンズ ピノ・ノワールのこだわり。

発酵では培養酵母と野生酵母を使用。ピュアな果実味に加え、複雑で立体的な味わいになることを狙っています。

発酵後はフレンチオーク（新樽比率15-20%）に移し、10ヶ月間ほど熟成させています。

開栓後すぐはまだ閉じた印象がありますが、空気に触れると徐々に華やかなベリーの香りが広がります。

またシナモンのようなスパイス感、紅茶、芳ばしいトーストの香りも感じられます。

味わいは重層的で、ベリーのジャムのような果実味と、ミックススパイス、腐葉土のようなニュアンスがあり、余韻はとても長いです。

良好なペアとなる料理は、「重すぎない肉料理」。

• 焼き鳥（タレ）
• 鶏肉の赤ワイン煮（コッコーヴァン）
• 八角を効かせた豚バラの角煮
• 牛タンのソテー（ハーブ風味のソースで）

このあたりがバッチリです！

ワイナリー「カタリナ・サウンズ」について

「カタリナ・サウンズ」はマールボロで最高のワインをつくるというビジョンを持って、2005年にはじまったワイナリー。

引用元：Catalina Sounds - Our Story

ソーヴィニヨン・ブランを中心に生産をはじめ、現在ではシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・グリといった新しい品種にも挑戦。また、エステート・ヴィンヤードからの単一畑のシリーズ「サウンド・オブ・ホワイト」や、姉妹ブランドの「クラウデッド・ハウス」も生産しています。

カタリナ・サウンズという名前は、飛空艇「カタリナ」とワイナリーと目と鼻の先にある「マールボロ・サウンズ」から名付けられました。

飛空艇「カタリナ」は、第二次世界大戦中と戦後に南太平洋全域で重要な役割を果たした飛行艇。ニュージーランド最大の戦闘機として有名なカタリナは、現在世界でもほんの一握りしか残っていません。

ワインのラベルには、飛空艇カタリナがマールボロ・サウンズを横切っていくが描かれています。

産地マールボロについて

「マールボロ」は、NZのワイン産地の中心地です。

豊富な日照量や、1日の中での寒暖差が大きいことなど、ぶどうの生育環境にとって好ましい自然の条件が揃っており、マールボロではNZワインの8割以上が生産されています。

その中でも、キリッとした酸味と溢れる果実味が特徴のソーヴィニヨン・ブランは圧倒的な生産量を誇り、唯一無二のキャラクターとして世界で広く愛されています。また赤ワインでは、豊かなベリー系の果物の味わいが魅力のピノ・ノワールが人気です。

カタリナ・サウンズ・ピノ・ノワール 2021（Catalina Sounds Pinot Noir 2022）