カウンターでたまにそう聞かれることがある。
15年ほどワインにまみれてきたけれど、瓶の外から味が透けて見えるほどの超能力はまだ身についてない。修行は続くばかりだ。
でも、ニュージーランドワインに関してだけは、ラベルを見ただけでちょっとした中身のヒントを感じ取ることができる。
なぜかって?それは、ニュージーランドのラベルは驚くほどシンプルだから。ロゴと文字だけの潔いデザインが主流。無駄を省いた、究極のミニマリズム。これが、NZスタイルだ。
なぜそんなにシンプルかというと、おそらく家族経営の小さなワイナリーが多く、ラベルに凝る時間も予算も限られてるからだと思う。そして、大半のワインが輸出用だから、海外の人たちにもわかりやすいシンプルデザインを採用しているんだろう。
そんな事情があるから、ニュージーランドは「シンプルラベルの国」になっているんじゃないか、というのが僕の仮説。
で、毎日そのシンプルラベルを眺めていると、だんだんと中身を推測するコツがつかめてくる。
というわけで、今日は僕が普段使っている「ニュージーランドワインのラベルのパターン分け」をご紹介したい。
1)とことんシンプル
「ワイナリー名」「産地」「ぶどう品種」「収穫年」の4つだけが書かれている超シンプルなパターン。いわば、ラベル界の白Tシャツ。
ニュージーランドワインは、産地とぶどう品種さえわかれば難しくない。パターンをつかめば俄然楽しくなるのがNZワインの醍醐味だ。初心者にも優しい。
ただ、この「超シンプルラベル」には一つ厄介な点がある。全ラインナップがほぼ同じデザインに見えてしまうことだ。つまり、上級ワインでも、パッと見はエントリーレベルと区別がつかないことがあるのだ。
よく見ると、上級ワインには「産地」のところに「小区画」や「特別な畑」の情報がさりげなく書かれているが、これがあまりにも控えめで、目立たない。
ワインの世界では、ぶどうが育った区画が狭くなればなるほど高級品とされる。けれど、ラベルのデザインの違いがあまりにも少ないと、その高級さが一目ではわからないのが問題だ。
でも、慣れてくるとその微妙な違いに気づくようになる。「おっと、見た目は似てるけど、実は高級ワインだぞ」と見抜けるようになるのだ。コツをつかめば誰でも。
2)シンプルだけど、クラス分けがしっかり
このパターンは、エントリークラスと上位クラスのデザインが一目でわかるもの。たとえば、エントリーは軽やかな白ラベル、上位は重厚感のある黒ラベルとか。
さらに上級クラスになると、金色のロゴやエンボス加工を使ったり、特別なボトルデザインに凝りはじめる。こうなると「ああ、これは本気のやつだな」と直感的にわかる。
我々にとって一番親切なスタイルだと思う。もっとこのタイプが増えて欲しい。
3)ワイン1本1本に特別な名前とデザイン
そして最後は、ナチュラルワインに多いパターン。ラベルデザインが銘柄ごとにまったく異なり、ぶどう品種すら書かれていないことがある。
ここまでくると、開けてみるまでどんな味なのか全然わからない。ドキドキ感はあるけれど、推測がまるでできないので、ワイン選びにおいてはなかなかの難敵だ。
と、こんな感じに大まかにわけて、日々、中身をあれこれ想像しながら涎を垂らしているわけだが、さて、ここからが本題。
上の2つ目のパターン「エントリーと上位の違いが見た目でわかる」を採用しているワイナリーが、今度ボクモにやってくるのだ。
そう、言いたかったのはこれなんです。話が回りくどくてすみません。
先日のペガサス・ベイに続いて、この秋2回目のワイナリー来日イベント。今回は、ホークス・ベイの名門「トリニティ・ヒル」の登場だ。
このトリニティ・ヒルのエントリーラインは白のシンプルラベル、特別な区画の畑から作られる上位ラインは高級感のある黒ラベル。実に分かりやすい構成である。
トリニティ・ヒルの得意なワインはシャルドネ、メルロー、カベルネ、シラー。そうなのよ、濃厚なワイン好きにはたまらないラインナップとなっておるのよ。
しかも、当日はお出しする6本のうち、ラベルの色で言うと白2本、黒4本。つまり上級多めの大盤振る舞いイベントなのね。
やってくるのはその道27年の達人、ウォーレン・ギブソン氏。ラベルによるランク分けの違いはもちろん、各ワインへのこだわりについて、達人から直接聞いていただく。もちろん質疑応答時間もしっかりとります。
ニュージーランド産のマッスルやラムチョップと一緒に、珠玉の濃密系ワインをご堪能あれ。
11月6日(水)18:30オープン、19:00スタート@ボクモ。